挨拶

2018年4月、静岡大学と浜松医科大学との共同教育課程(博士課程)「光医工学共同専攻」がスタートしました。有力な成長分野である光研究、医工連携の推進と、それに基づく人材育成に向けた重要な一歩といえます。

共同教育課程とは、複数の大学が共同して教育課程を編成・実施する大学院です。本専攻は、規模は小さいながらも、その教育課程は静岡大学と浜松医科大学の両大学共同で編成された特徴のあるものです。学生自身の研究分野の専門性に偏ることなく、医学及び工学両面からの観点、基礎及び応用両面からの観点を含む多面性をもって指導が行われています。

静岡大学は、工学部の前身である浜松高等工業学校での高柳健次郎先生による電子式テレビジョンの発明に端を発する先進的イメージングテクノロジー、革新的受発光・電子工学、ナノテクノロジーなどの分野における教育研究を、1965年に設置された電子工学研究所を中心に精力的に進めています。本共同専攻では、特にこのような静岡大学の強みである光・電子工学分野における専門知識の修得、研究力・応用力の養成に携わっています。

また、浜松医科大学は、創立以来、光に関する医学への応用を積極的に進めており、2016年に開設された「光尖端医学教育研究センター」では、「光技術の医学応用とイメージング」及び「産学官連携によるものづくり」を積極的に進めています。これらの取組を活かし、この共同専攻では、特に浜松医科大学の強みである世界でも最先端の「光医学」に関する高度な教育により、光医工学分野で求められている光医学の専門知識の修得、技能の養成に携わっています。

これらの高いレベルの知識および研究力の獲得とともに、特に医療現場における高い研究倫理・医療倫理観を涵養するため、また医療現場の課題やニーズを把握するための場として、浜松医科大学附属病院という環境を活用できることも本共同専攻の特徴です。このような環境において医療機器開発、関連共同研究に参画することにより、新しい医療技術の研究開発を推進できる能力の涵養を可能としています。

さらに、工学系の素養をもつ学生が医学・生命科学系の学修を行い、医学系の素養をもつ学生が工学系の学修を行うという本共同専攻では、異なる学術的背景をもつ者同士が共同作業を行うことにより、医学と工学を結びつけるコミュニケーション能力が養われるとともに、これまでにない独創性も養われると期待されます。

以上の取組により、世界における「光医工学」の研究分野を牽引し、独創的な研究を行い、21世紀が抱える健康、医療、高齢化等の諸問題を解決し、人類の医療と福祉に貢献できる人材の輩出を目指しています。

共同専攻の仲間として、高い志をもつ皆さんにお会いできる日を心待ちにしております。

静岡大学 教育担当理事 丹沢哲郎
浜松医科大学 教育・産学連携担当理事 山本清二